7.3センチメートル
ブログを初めてから1年が経った。1年前はライカを買おうとは微塵も思ってなかった。
興味を持ったのはそれから3ヶ月後。最初はただレンジファインダー機を使ってみたいと思っただけだった。しかし中古のM8が想像よりずっと安いという事を知りライカに興味が湧いた。
実際に購入したのはフィルムカメラの方だった。ニッケルエルマーとセットで売られていたバルナックのDⅢ。急激にフィルム撮影に興味を持ち中古カメラ屋で色々物色していたがバルナックライカの精巧な造りに惚れ惚れしてしまった。
そして満を持してのM9。それが去年の10月。その後はズマール 、セレナー、そして先月のズミクロン50mm3rdと立て続けにレンズを購入した。
中古のカメラやレンズは一期一会。タイミングが大事だ。ずっと欲しいと思っている35mmのレンズとは縁がなく未だに手にしていない。
35mmのレンズを手に入れるまではレンズ巡りは終われない。
良く写るズミクロンを手にしたら良く写らないレンズが欲しくなった。
出会ってしまったら仕方ない…
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF60mm F2.4 R Macro
癖玉ヘクトール7.3cm。良く写らないのにやたらと高い。このレンズ必要?分からん…
鏡胴はブラック×シルバー。ニッケルが欲しかったけど更に高価なので潔く諦める。付属フードなし。レンズの状態も良くない。
フードはiufooで充分だし、写りに不満がでたらレンズの再研磨を検討しよう。
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF60mm F2.4 R Macro
シリアルナンバーを調べると1931年製。俺のDⅢはDⅡ改造品なんだけど1932年製。DⅢと区別がつかないぐらいなのでライカ公認の純正改造品だと思っているが真相は分からない。そのDⅢに付いてたニッケルエルマーは10万未満のナンバーで不明だけど近い年代だと思う。ニッケルズマールは1933年製。
戦前に製造され第二次世界大戦をくぐり抜けたカメラとレンズ達。偶然なんだけど全て同世代ってなんか凄い!
FUJIFILM X-Pro2 + FUJINON XF60mm F2.4 R Macro
そんなヘクトール7.3cmは開放での光の滲みが美しくコントラストはとても軟調。モノクロで撮るとノスタルジック過ぎる程ノスタルジックに写る。
モノクロ専用ぐらいのつもりで購入したがカラーが思いのほか良い。ネガフィルムを意識して仕上げた。
夜のストリートフォトでは照明や看板の光が滲む。ライカを持って海外へスナップに出掛けるのは憧れるが東京の飲屋街こそがこのヘクトールに合ってるのかもしれない…
癖玉と呼ばれているズマリットやズマールだがレンズの状態が良ければ実は良く写る。ヘクトールはどうだろうか?
このレンズの味を楽しむのがこのレンズを使う唯一の理由。
手ブレしてるだとか…ピントが合ってないとか…そんなのは俺にとっては大した事じゃないって気付かされた。
心が動くかどうか…
いつにも増して光を探した。影を求めた。
そして初めて人を撮ってみたいと強く感じた。
写りも個性的だが7.3cmという焦点距離が唯一無二な存在感を感じさせる。
Leica M9 + Leitz Hektor 7.3cm F1.9
レンズを買っても腕は変わらないかもしれない。
でも意識が変わる事はあるようだ…